■なぜ桃を飾るの?
〜魔を払い、子孫繁栄を願う〜
「桃の節句」と言われる通り、上巳の節句には桃を飾ります。
古来より中国では桃はたくさんの実を成らせることから、生命力の強さの象徴であり、 子孫繁栄、不老長寿を表し、また、その香気が悪鬼を遠ざけるとして、果実の王といわれ重要視されてきました。
また、日本でも桃は魔を払う不思議な霊力を持った樹とされてきました。「古事記」には、イザナキノミコトが桃により冥界の魔女を追い払った記述があります。
上巳の節句に桃を飾り、樹の霊力によって魔を払うのは、娘がすくすくと生い立つよう願う親心。中国最古の詩集である「詩経」には、嫁ぐ娘を桃に喩えて祝す詩があります。桃の生命力や魔を払う霊力に託して、娘の幸せを願ったのでしょう。
「桃夭」
桃の夭夭たる 灼灼たる其の華 之の子于(ユ)き帰ぐ 其の室家に宣しからん
桃の夭夭たる 賁(フン)たる其の実 之の子于き帰ぐ 其の家室に宣しからん
桃の夭夭たる 其の葉蓁蓁(シンシン)たり 之の子于き帰ぐ 其の家人に宣しからん |